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酸素の危機(シアノバクテリア)ダーウィン進化論と共生進化論恒常性(ホメオスターシス)
ガイア仮説還元主義と全体主義私って何?進化の本質
リン・マーギュリス博士とチャールズ・ダーウィン

ボストン大学の微生物学者理リン・マーギュリス博士は進化に関して面白い理論を提唱しました。
現在のあらゆる多細胞生物の先祖は約22億年前に生まれましたが、単なる突然変異や淘汰の結果ではなく、単細胞生物がお互いに協力しあう事で多細胞生物が生まれたと言うのです。
今までのダーウィン進化論では、生物の進化の過程での生物同士の相互援助的な側面は無視され、強い物が勝ち残るという競争的な、弱肉強食的な側面ばかりが強調されてきました。

酸素の危機(シアノバクテリア)

侵入の図と動物植物細胞の図

バクテリアが支配していた世界にある時、酸素を老廃物として吐き出すシアノバクテリアが現れました。
しかし、ほとんどのバクテリア達にとって (シアノバクテリア自身にとっても)酸素は毒だったのです。
この時沢山のバクテリアが死に、残った者は酸素耐性を獲得するように変異して 生き残ろうとしました。
そんな中、シアノバクテリアは何と、自分の身を酸素から守る為、別の(酸素に耐性能を獲得した)バクテリアの体内に入り込んでしまったのではないか、とリン博士は考えたのです。
そして、突然自分の体内に酸素が作られるようになったバクテリアは自分のDNA(遺伝子)を守る為に膜で囲い保護しました、こうして「核」を 持った細胞が出来たのではないかと考えるわけです。
更に、今度は酸素を呼吸に使う棒状のバクテリアが入ってきました。そうすると体内に産生された酸素が丁度上手く利用消費できたのです。
このように協力しあった(入り込んだ)2種のバクテリアは、その後一体化してしまい、現在の私達の体細胞の中のミトコンドリアとなって 残っているというのです。
実際、ミトコンドリアは独自のDNAを持っています。
大気の酸素濃度が高まると言う危機的状況に陥った事で、バクテリア達は「生き延びて行く為に協調的に集合する事を余儀なくされた」と言うわけです。
いや、「協調して生き延びた」と言い換えた方が良いのかも知れません。
ミトコンドリアとは細胞の細胞質内にある小球状、 あるいは杆状の細胞内小器官でエネルギー産生や呼吸代謝が行われます。1つの細胞内に100~2000個程度含まれています。.ミトコンドリアは自分自身の遺伝子を持っている為、元々は単体の生物で、 後から他の生物の中に入り込んで共に生活するようになったと考えられています(細胞内共生説)。
植物細胞も同じようなプロセスを経て、現在見られる「葉緑体」・「ミトコンドリア」として残り、細胞全体として水と太陽からエネルギーを作る能力を得たのではないかと考えられます。
更に、素早く動き回る螺旋系のバクテリアであるスピロヘータも、別のバクテリアに入り込み一体となる事で鞭毛や繊毛となり運動機能を持つ細胞が生まれ、またある者は細長い房状の構造を持つ微小管になり細胞内の化学物質や分泌物の輸送を担う事になりました。
リン博士は進化の過程でこの微小管が長く伸びて樹状に分岐して神経組織に発展していったのだろうとも考えています。
こうして様々な機能・性質を持った新しい細胞は、更に協力し合いお互いに役割を分担するようになりました。
繊毛を持った細胞が別の細胞に付着して2つの細胞が一緒に自由に動き回るようになると繊毛を持っていない方の細胞の中の微小管は、 例えば感覚器官に発達したかも知れません。
このように様々な性質を持つようになった新しい細胞(バクテリア)達は、更にお互いに協力しあい、長い月日をかけて役割を分担し、 多細胞生物として進化してゆき現在の植物や動物が出来たというのです。
こうして考えてみると、私達は各々1人1人が1つの独立した生き物であると思っていますが、実はつま先から頭の先まで無数の微生物が協力し 合って構成されている共同体なのです。

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ダーウィン進化論と共生進化論

リン博士は言います「進化において、いかに協力が大切かを認識し、進化論を考え直さなくてはいけない」と。
ダーウィンの進化論によって「進化とは淘汰であり、最もすぐれたものが競争の結果勝ち残る」という考え方が常識として定着してしまったのです。
ネオ・ダーウィン派の「小さな遺伝子変異が積み重なって新しい種が生まれる」という理論も実験では確かめられていません。
化石の研究から判断しても新しい種は突然生まれてきており、小さな遺伝子変異の積み重ねの結果とは考えにくいのです。
DNAの突然変異は進化の源にはなりえず、せいぜい種の絶滅を避ける為に環境に適応する機能を持つ程度だという学者もいます。
ある動物の群れの中ではお互いの強さの順位付けが行われています。 それが競争社会の典型例として紹介されれ事がありますが、これなども見方を変えてみると全く違って見えてきます。
群れができ、雄同士の強さの順位が決まるとすぐにリーダーとなる雄が確定します。
そしてリーダーが決まると、もはやその群れの中には争いは 起こらなくなるのです。
つまり何かの度に無益な争い事が起こるのを避ける為に、あえてハッキリした上下関係を決めておき、群れ全体として協調して平和に暮らしていたのです。
ロシアの学者ピーター・クロプトキンは動物の生態調査をしてゆく中で動物同士の残虐な争いを一度も見る事がありませんでした。 そして進化の過程で協調が大切である事を見出したのでした。
常に争いあっている動物と、お互いに助け合っている動物のどちらが自然界に適合しているでしょうか?
疑いの余地はありませんね、助け合う方がより長生きする可能性が高いのです。 ダーウィンはマルサスの人口に関する随筆を読んで適者生存の考えに至ったと言います。 その為、「ダーウィンは人間社会において弱者や働かざる者が、のけものにされる経済自由競争の理論を生物の競争に置き換えたのだ」と 指摘する声もあります。 ダーウィンの進化論(適者生存)が正しいとするならば、(不自然な人間特有の行為である)他の生物を絶滅させたり、争いから他人を 殺したりする事が生命としての自然な本能として正当化されてしまうではないですか。
このように生物が自己組織しながらお互いに助け合って進化する事は従来の「ダーウィン進化論(淘汰・弱肉強食)」と区別する為に 「共生進化論」と呼ばれています。

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恒常性(ホメオスターシス)

リン博士の研究仲間であるイギリスの科学者ジェームス・ラブロック博士は1970年代にNASAから火星の生命探査装置を作るよう依頼されました。
その際まず地球の大気について詳しく調べて行きました。
すると、地球の大気に奇妙な気体が含まれている事に気が付いたのです。 例えば、メタンと酸素が共存している事です。
通常これらの気体はすぐに化学反応を起して二酸化炭素と水に成ってしまうのです。 更に、硫黄、アンモニア、塩化メチルなどは理論的定常状態を遥かに上回っている事も明らかになりました。
海の塩分濃度についても同じような事が言えます。何百万トンもの塩が毎年海に流れ込んでいるにもかかわらず、 海水の濃度は一定に保たれているのです。
また、太陽の温度はこの40億年間でおよそ30%程上昇したと考えられています。
それが正しいとすると、原始の生命が現れた頃、地上の平均気温は氷点下だった事になります。 しかし、化石を調べてみても地上がそのように低温だったという証拠は見つからないのです。
人間や哺乳動物の体はその生命を維持する為に、周囲の温度が変化したり、空気中の酸素濃度が少々変化したり、 塩分摂取量が増減しても体温は一定に保たれ、血液中の酸素濃度・塩分濃度は(環境と平衡にならず)常に一定値に保たれるように恒常性を保っています。
これと同じように「ある一定領域の温度を保ち、大気や海の成分濃度が非平衡状態を維持し続けているのは明らかに地球自身が 生物活動を持っている(生きている)証なのです」とジェームス博士は結論したのでした。
海洋のプランクトンは大気に硫酸ガスを放出します。
このガスは化学反応によってゾル状態のコロイドとなり水蒸気を吸収し雲を形成します。雲は太陽をさえぎり地球が温まりすぎるのを防ぎます。
地球が冷えるとプランクトンの数が減り、雲があまり出来なくなり気温が上がるのです。
つまり、プランクトンは地球の温度を一定に保つサーモスタットの役割を担っているのです。
このように地球上の大気はごく初期の頃から生命によってきちんと調節されてきた(恒常性を維持してきた)と考えられるのでした。

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ガイア仮説

地球は恒常性を持っていますが、それだけでは無く進化する能力も持っています。地球の大気は生命を育むのに丁度良い環境を保ってきましたが、生命の進化に合うように徐々に変化して来たのです。
地球の釣り合い(バランス)は過去何度か崩れて新しい状態に移行しました。
例えばシアノバクテリアが大気の酸素で汚染した時が良い例です。
酸素は大部分のバクテリアを死滅させましたが、そのおかげで生命が進化したのです。進化し、自己制御し、自己組織化する能力を持つ生きた地球をジェームス博士はギリシア神話の大地の女神の名前をとって「ガイア」と名付けたのでした。

ガイア仮説 ガイア仮説

そして地球そのものを生命体であるとする「ガイア仮説」を提案したのです。 地球上には、およそ40億程の種が密接に共生進化し合っていますが、この地球自体が1つの生命体のようになっていると言うのです。これをルイス・トーマスは地球を「巨大な細胞」と名付けています。
人間が自分の体内に不調和が発生すると自己治癒力によりその不調和を解除しようとします。同様に、地球の中で不調が現れると、 地球自身の自己治癒力によってその不調和を改善しようとするでしょう。
現在の私達人類は地球から見たら不調和を生み出しています。
とすると地球の自己治癒力は私達に対して『天災(台風・地震・洪水・火山爆発などなど)』と言う形で力を発揮しているのかも知れません。

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還元主義と全体主義

今、私達人類は自然界の複雑な体系を部品の集合体とみなし、全体の体系から切り離して解析する方法論(還元主義)をとっています。
その為、物事を分類する癖が日常的についています。
そして、このような方法論が基礎にあるため、「自然界の調子が悪くなったら、故障した部分だけを修理すれば良い」と考えてしまうのです。
一方、このような還元的(部分的)考えに対して最近、カオスや全体性に関する研究が盛んに行われるようになって来ているのです。
全体感で考えると部分的に見えた自然は相互関係、相互依存、不確実性によって成り立っていて、そこには今まで気付かなかった相互連帯感、 つまり「生命の感覚」があったのです。
遺伝学者バーバラ・マックリントックは染色体を細かく観察していった結果、自分自身が染色体の中にいるように思えてきました。
自分自身1つの遺伝子から出来上がったものだったのですから・・・・。
言い換えるなら自分(遺伝子)が自分(遺伝子)を見つめていたのです。
自分とは切り離された別の物として・・・。
そして次のような事を言いました 。
「あらゆる物が結びついて1つになっている認識が無ければ、科学は単にバラバラになった自然、あるいは自然のほんの一部を見せてくれる事しか 出来ないのです。
本来全体の動きを知ってからでなければ部分の動きの意味は分からないのに、 私達は一部分だけに注目して、全体の動きを見る事を忘れていたのです」と。

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私って何?

バクテリアと大気の関係はバクテリアが大気を変え、大気がバクテリアを進化させました。つまり共生進化がここに見られるのです。
自然は小さな物から大きな物へ、単純な物から複雑な物へ進化するという従来の考えとは違うのです。
こうなってくると、大きなスケールと小さなスケールの物を分離して扱う事は出来ません、常に同時に考えると言うフラクタル的なものだったのです。
このように考えてくると、「個(私)」とは一体何なのでしょうか? 体系の中の大きな物も小さな物も全てが複雑に結びついているならば、そもそも個体として分離して考える事自体が矛盾しているのです。
「個(私)」とは「全体的(宇宙全体)調和の中でのみ存在しうる抽象的なもの」だったのです。

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進化の本質

リン博士やジェームズ博士は「進化の本質は普遍的協調にある!」と言います。
微生物を光の当る閉じた箱の中に入れておく時、微生物の種類が多いほど系全体の安定性が高くなる実験を示し、人類も自分達を環境破壊の危機から救う為には少しでも他の種を守って共に協力して行かなくてはならない、と呼びかけるのです。
今、私達は1人1人の存在が地球全体の環境と密接に結びついていた事に気が付き始めたのです。太古のバクテリアが酸素の危機に 直面した時と同じ状況なのです。協力しあうか、それとも死滅かです。今度の破局を乗り切る為には全人類、更に生きとし生けるもの達の協調が不可欠なのです。
そして、大きな破局を乗り越えた時こそ、大きな進化がもたらされるのです。
【参考図書】
Turbulent Mirror:John Briggs F.David Peat/ダイアモンド社
新しい生物学:丸山 工作/培風館

酸素の危機(シアノバクテリア)ダーウィン進化論と共生進化論恒常性(ホメオスターシス)
ガイア仮説還元主義と全体主義私って何?進化の本質